ジュベルック注射

1)ジュベルックとは?

ジュベルックはポリDL乳酸(PDLLA:Poly-DL-lactic acid)とヒアルロン酸が主成分の薬剤です。 ポリ乳酸には線維芽細胞を刺激してコラーゲン生成を促進する働きがあり、肌質改善やニキビ跡治療、肌のハリやツヤ、毛穴の開きやたるみなどのお悩みがある方に効果があります。いわゆる「コラーゲンブースター」と呼ばれる薬剤の1つです。
注入後は12〜16ヶ月くらいかけてゆっくりと体内に吸収されるため持続的な効果がある点も特徴の1つです。

ジュベルックの成分のPDLLAはFDA(アメリカの厚生労働省に相当)やKFDA(韓国の厚生労働省に相当)では手術用縫合糸などの用途で承認されています。ただし、「Juve lookジュベルックという製剤」自体がFDAの認可を受けている訳ではなく、あくまでも「FDAで認められている成分」が入っている、という認識です。
KFDAでは製剤としても認可されています。

2)類似製剤との比較

<ニューフィル>
ジュベルックと同様のポリ乳酸製剤ですが、構造的にはPLLA(ポリL乳酸)と異なっています。ニューフィルは過去に一時期流行りましたが、PLLAはPDLLAよりも長く体内に留まり炎症が長引きます。そのために副作用が現れてしまい、現在では美容目的では殆ど使用されなくなっています。

<マックーム>
ポテンツァ専用のポリ乳酸とCMC(カルボキシ・メチル・セルロース)を主成分とした韓国ジェイシス社が発売している製剤です。粒子の大きさのために韓国の厚生労働省に相当するKFDAの認可が下りていません。医薬品ではなく「化粧品」扱いの製剤です。当院でも導入した韓国ジェイシス社のポテンツァに付属で付いてきます。ジュベルックとほぼ同等品と考えています。

<リジュラン>
サーモン注射として韓国で大ブレイクしている製剤です。線維芽細胞を刺激してコラーゲンを増やす、という目的は一緒ですが「ポリヌクレオチド」を主成分としています。効果の持続期間が約6〜12ヶ月、ジュベルックよりは少し短い傾向にあります。

<ジュビダームビスタボライトXC>
ポリ乳酸は含有されていない、あくまでも低粘度のヒアルロン酸です。ポリ乳酸製剤と使用目的は一緒です。真皮内に満遍なく皮内注射を行う事によって皮膚の保湿、張り、たるみ改善、などが期待できますが単純なヒアルロン酸ですので数ヶ月で吸収されてしまいます。ポリ乳酸のような線維芽細胞を刺激する成分は入っていません。アラガン社の製剤で厚生労働省で認可されています。

3)効能・持続

線維芽細胞が刺激される事により、コラーゲン生成が促進され毛穴、小ジワ、肌の張り、ニキビ跡の改善、などに効果が期待できます。
溶ける糸でも使用されているように1年程度は皮膚内に残存していますのでその期間はコラーゲン生成を促す働きが維持されている、と考えられます。逆にあまり長く皮膚内に留まってしまうと長期の炎症(しこりなど)の原因となります。これらのバランスに優れているのがジュベルックPDLLAと言えます。

下記はジュベルック注射によってコラーゲンが増えた顕微鏡像です。


4)実際の治療方法

最初は1ヶ月毎に2〜3回、その後は1年に1回の注射が推奨されています。
もちろん、顔全体ではなく患者様が気になっている部位だけの注射も可能です。

しっかり洗顔していただきます。

麻酔クリームを塗布します。

パターン①<ドクター手打ち>
医師が患者様の皮膚の厚みや小じわ、毛穴の程度を目視しながら適量を30~32Gという極細針でジュベルックを真皮内に注入します。この方法が一番真皮内に薬液がしっかり注入されると考えています。針穴からの薬剤の漏れも一番少ないと思われます。

パターン②<水光注射>
看護師が行う方法です。水光注射の針の深度設定を変える事によってドクターに頼らない治療が可能です。逆にドクター手打ちよりも9本の針が均一に皮膚に穴を開ける事による「コラーゲンの生成」「毛穴の改善」などが期待出来ます。

パターン③<ポテンツァによるドラッグデリバリー>
ニードルRFというポテンツァの使用方法の大本命です。CPチップという陽圧がかかるチップの際に使用出来ます。ニードルRFと薬剤注入のトリプルメリットです。

皮膚の腫れや赤みに応じてステロイド軟膏を塗布したり、皮膚のクーリング、鎮静マスクパックを行います。

その後、帰院となります。

5)症例写真(全てメーカー提供)


6)アフターケアなど

洗顔やお化粧は翌日から可能です
施術後1週間は温泉入浴やサウナ浴は控えて下さい
施術後1週間はマッサージを控えて下さい
治療後2〜3日は膨疹(皮膚の軽度の膨らみ)が生じることがあります
治療後に一時的な疼痛、腫脹、内出血が現れる可能性があります

7)治療をお勧めしない方

ポリ乳酸が合わない方
麻酔クリームが肌に合わない方
治療部位に明らかな炎症や感染がある方
自己免疫疾患のある方
アレルギー疾患のある方
金属アレルギーのある方
妊娠中や授乳中の方(胎児や乳児に対する安全性は確立されていません)

料金(全て税込)

メニュー 料金
ドクター手打ち1cc トライアル 27,500円
1回 38,500円
3回コース 99,000円
コース終了後 1回33,000円
ドクター手打ち2cc トライアル無し
1回 55,000円
3回コース 132,000円
コース終了後 1回44,000円
ポテンツァ・ドラッグデリバリー(1cc) トライアル 66,000円
1回 77,000円
3回コース 184,800円
コース終了後 1回61,600円
ポテンツァ・ドラッグデリバリー(2cc) トライアル無し
1回 99,000円
3回コース 237,600円
コース終了後 1回79,200円
水光注射32G(1cc)看護師施術 トライアル 33,000円
1回 44,000円
3回コース 105,600円
コース終了後 1回35,200円
水光注射32G(2cc)看護師施術 トライアル無し
1回 66,000円
3回コース 158,400円
コース終了後 1回52,800円
麻酔クリーム(全顔) 4,400円

よくある質問

コラーゲンブースターとは何ですか?

コラーゲンを造る「線維芽細胞」を刺激する薬剤の事を最近は「コラーゲンブースター」と呼んでいます。コラーゲンブースターにはジュベルックの他にも「リジュラン(サーモン注射)」「マックーム」「ラフレン」「フィブラスト」など色々発売されています。線維芽細胞を刺激する手段としては薬剤の他にも「水光注射」「フラクショナルレーザー」「ニードルRF(ポテンツァ)」などがあります。

治療は痛いのですか?

はい、注射ですのでどうしても痛みがありますので、通常は麻酔クリームを30分位塗布してから行います。笑気麻酔を併用する事も可能です。

治療後はすぐにお化粧は出来ますか?

ジュベルックの治療はどの方法でも「皮膚に針を刺す」ので当日の洗顔(水洗いは可)やお化粧は控えて頂いています。翌日からのお化粧は構いません。

治療後のダウンタイムはありますか?

はい、針の穴によるぶつぶつした赤みがあります。長いと1週間近く赤みが残る場合があります。また、針を刺入する際の出血があります。内出血班として長いと1週間程度残る場合があります。また、ジュベルックが皮内に注入される事による膨疹(皮膚の軽度の膨らみ)が現れます。これは翌日までには消失することが殆どですが、稀に2〜3日かかる場合があります。いずれも翌日からのお化粧である程度カバー出来るものです。ポテンツァと組み合わせた場合のみ高周波RFの熱による顔全体の腫れや熱感が数時間続く場合があります。

「ドクター手打ち」と「看護師による水光注射」ではどちらが効果的ですか?

ジュベルックの薬剤を適切・確実に真皮内に注入する、という場合はドクター手打ちが優位です。しかし、水光注射の場合は9本針の刺入刺激によるコラーゲン生成が期待出来ます。目的に合わせて使い分けて頂いています。

「ドクター手打ち」と「ポテンツァ・ドラッグデリバリー」ではどちらが効果的ですか?

ジュベルックの薬剤を適切・確実に真皮内に注入する、という場合はドクター手打ちが優位です。しかし、ポテンツァによるドラッグデリバリーシステムは「針刺入による線維芽細胞刺激」+「高周波RFによる熱による皮膚引き締めや皮脂腺焼灼、毛穴縮小」+「その後の陽圧による針刺入部への薬剤の導入」という3つのメリットがあります。やはり治療目的によって使い分けをお勧めしています。

ジュベルックとサーモン注射はどちらが効果的ですか?

コラーゲンを増やして「肌の張り」「小じわの改善」「毛穴の改善」などの目的はほぼ一緒ですが、効果の持続期間が異なります。効果が実感された後のアフターケアがジュベルックは「1年に1回」で済むのに対して、サーモン注射(リジュラン)は「6〜12ヶ月に1回」という違いがあります。もちろん、個人差はあります。

ジュベルックとヒアルロン酸はどちらが効果的ですか?

ジュベルックは線維芽細胞を刺激してある程度の期間をかけてコラーゲンを造成する「コラーゲンブースター」の1つです。一方、ヒアルロン酸は保湿物質ですので「シワの改善」「皮膚の張り」「小じわの改善」などその場で効果が得れれまが、線維芽細胞を直接刺激する効果はありません。全く別の目的での使用となります。

ジュベルックの点滴はありますか?

残念ながら現在のところは皮膚内への注射だけの治療方法となっています。

アレルギーが心配です?

ジュベルックの主成分のポリ乳酸は体内で徐々に分解吸収される物質です。外科用の糸としても使われていて、FDAでも成分として認可されているものです。しかし、どのような薬剤でも100%安全という事はありません。ポリ乳酸に対してアレルギーが現れた場合はステロイド剤などで対応します。