陥没乳頭

陥没乳頭は見た目だけでなく、
授乳の際に支障が出る可能性があります。

概要

乳頭が正常に露出しないで、凹んでいる状態のことを陥没乳頭といいます。
指でつまんだり、寒さなどの刺激によって乳頭が出てくる軽度の状態もあれば、いくらつまんでも凹んだままの重症の患者様もいます。

乳頭の根元の部分の繊維性組織(乳管と一緒の筋となっています)が強固で、下方に牽引される力が強いために起こります。特にバストが大きい方に多く起こります。
見た目が悪いだけでなく、乳頭が陥没していると赤ちゃんが乳頭を吸えないために授乳出来ない可能性も高くなります。

タイプ

当院では陥没乳頭をその程度によって2つに分けています。

軽症

乳頭を指でつまむと簡単に露出するタイプです。
指を離してもしばらくは元に戻らないものを軽症としています。

重症

乳頭を指でつまんでも簡単には露出しないタイプです。
指を離すと直ぐに元に戻ってしまいます。中にはつまんでも全く出てこない方もいます。
実際に来院される患者様の殆どはこの重症タイプです。

タイプ別治療内容

当院では陥没乳頭をその程度によって2つに分けています。

軽症タイプ→巾着法

乳頭の根本に4カ所程度の小切開を加えます。その穴から乳頭の根本を縛って引き締めるように糸で縫合します。この糸は皮膚の下に埋没しますので抜糸は不要です。この処置によって露出した乳頭が再度陥没しないようにします。女性が持っている「巾着バッグの口のような状態」なので、巾着法と呼んでいます。

重症→ハンモック法(酒井法)

乳頭を水平方向に端から端まで切開します。切開して陥没の原因となっている繊維性組織を処理(切離、切断)します。その操作によって簡単に乳頭が露出するようになります。この後に乳輪の皮下組織を乳頭の左右から引き寄せて縫合し(ハンモック状態です)乳頭が再度落ち込まないようにします。その後に切開した乳頭部分を縫合して元に戻します。1週間後に抜糸を行います。

副作用

授乳障害

重症タイプの場合は原因となっている繊維性組織を処理する際に「乳管」も一部傷つけてしまう可能性があります。乳管は乳腺から母乳が分泌される通り道ですので、陥没乳頭の手術によって母乳の分泌が低下する可能性は否定できません。

血行不全

重症タイプでは乳頭の根本をハンモック状にして引き締めています。ですから、治療前よりは乳頭先端部への血行が悪くなる可能性が否定できません。乳頭の血行を確認するために翌日の来院をお願いしています。万が一、血行が悪くなっている場合は根本を少し緩めます。

乳頭の大きさの不十分

あくまでも陥没している乳頭を露出させる治療ですので、元来の乳頭の大きさを大きくする訳ではありません。陥没乳頭の程度が強くて長期間乳頭が埋もれて圧迫されていると、通常の成人女性の乳頭よりもかなり大きさが小さい場合があります。大きさが不十分な場合ではせっかく手術しても赤ちゃんが乳頭を吸えなくて授乳できない可能性もあります。大きさに関してはVY形成などの皮弁形成術などで対応する事が可能です。

後戻り

陥没の程度がかなり重症(指でつまんでも全く出てこない方など)の場合では手術後に後戻りの可能性が否定できません。そのような場合は乳管を完全に切離する手術を行うか、VY形成などの皮弁形成術などで対応します。

診療の流れ(主に重症タイプについて説明しています)

1.カウンセリング

経験豊富な医師が担当します。女性医師もいます。

2.診察、タイプ診断

実際に患者様の乳頭の状態を診察して、軽症か重症かの判断を行います。

3.治療

歯科のような局所麻酔を行ってから手術を開始します。手術中はもちろん無痛です。治療中に仕上がり具合を確認する事も可能です。治療後は露出した乳頭を保護するスポンジをあてて、帰宅してもらいます。治療後の痛みも強くありませんので、車の運転も構いません。

4.通院

乳頭の血行を確認するために翌日の来院をお願いしています。通院したくない方はご自身で乳頭の皮膚の色を見て頂き、黒くなっていない場合は通院不要としています。万が一、皮膚の色が黒くなって血行不全が疑われる場合は必ず来院して下さい。

5.抜糸

傷口の治りに問題が無ければ1週間後に抜糸を行います。これで終了です。

Before & After

この患者様は陥没乳頭の程度が軽症(指でつまむと容易に乳頭が露出する)だったので「巾着縫合」の適応です。写真のように乳頭周囲にナイロン糸を皮下に巾着状に埋没縫合させて乳頭の根元を引き寄せて縛りました。ナイロン糸の結目は皮下に埋没させるので見えませんし、抜糸不要です。乳頭自体にはダメージがありませんので、将来的な授乳等にも支障はありません。

術前、両側とも乳頭が陥没して凹んでいます

術後1週間の状態

術後1ヶ月、非常に自然な乳頭形態に仕上がっています。

術前の左側面

術後1週間の左側面

術後1ヶ月、乳頭が完全に露出した状態が保たれています

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料金・比較表

軽症 重症
治療時間 30分 60分
シャワー 当日から可能 3日目から可能
スポーツやセックス 1週間後以降から可能 1ヶ月以降から可能
授乳 1週間後以降から可能 1ヶ月以降から可能
通院 不要 翌日
抜糸 不要 1週間後
両側料金
(片側の場合は両側料金の60%)
198,000円 385,000円

よくある質問(主に重症タイプについて説明しています)

シャワーや入浴はいつから出来ますか?

シャワーは3日目から、入浴は1週間後の抜糸が終了すれば可能です。
ただし、プールや温泉、海水浴は不潔になりますので1ヶ月は控えてもらっています。

スポーツやセックスはいつから可能となりますか?

1ヶ月は控えてもらっています。特に乳頭が圧迫されるような運動や体位は控えて下さい。
うつ伏せでのマッサージなども1ヶ月は禁止です。心配な場合は乳頭保護のためのスポンジをしばらく装着してスポーツを行って下さい。

授乳は出来ますか?

手術後1ヶ月程度は控えてもらっています。
触られたり、吸われたりしても痛み等がなければ1ヶ月以降は構いません。

元に戻ったりはしないのですか?

陥没の程度がかなり重症の方などでは時間の経過と共に後戻りする可能性が全くないとは言えません。また、手術時よりもバストが大きくなってしまった場合なども再発する可能性があります。再発する場合は乳管を完全に切離する手術(授乳は出来なくなります)を行うか、VY形成などの乳輪の皮膚を利用した皮弁形成術などで対応します。

痛みはありますか?

歯科のような局所麻酔を使用しますので、手術中は無痛です。

施術費用

軽度・両側(巾着法) 198,000円
難治性・両側(酒井法) 385,000円

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診療案内