１）ポテンツァとは？

韓国の医療機器メーカーであるジェイシス社が開発した「ニードルRF」機です。韓国で最初にニードルRFを開発販売したのはVIOL社のシルファーム（現在はシルファームX）でした。それを性能向上させて他の機能も付加して開発されたのがポテンツァです。先行品よりも後発品の方が「性能が良い」という典型的なパターンです。

2）ニードルRFとは？

水光注射のようなイメージで「皮膚に針を刺入して、その針先からRF（ラジオ波）が照射される」という作用を「ニードルRF」と呼んでいます。
RF（ラジオ波）とは最終的には熱エネルギーとなります。
先行品のシルファームは絶縁針ではありませんでしたが、ポテンツァでは絶縁針を採用することにより「表皮の熱傷を完全に防ぐ」工夫を施した点がシルファームとの大きな違いです。
現在では様々なメーカーからニードルRFが発売されていますが、圧倒的な日本国内シェアを誇っているのがポテンツァです。
日本国内でニードルRFと言えばポテンツァ、という位のイメージが出来上がっています。

ニードルRF（ドラッグデリバリー含む）のイメージ動画（ジェイシス社提供）

3）RF(ラジオ波）とは？

ラジオ波RFとはRadio Frequencyの略です。
ラジオ波RFは高周波と一緒と考えて下さい。
高周波とは一種の振動する電流で、その振動の周波数が高いものを高周波と呼んでいます。
定義的には「3THz以下～30GHzの周波数をもつ電磁波」とされていますが、周波数が300kHz〜6MHzのものが医療用として使われることが多いようです。
ちなみにRF機器として有名なサーマクールで使用されている高周波は6MHzです。
6MHzとは「1秒間に600万回振動」している事になります。
この振動する電流によって皮膚深部へ熱エネルギーを発生させるのです。

4）ニードルRFの効果とは？

分かりやすく言うと「水光注射で薬液を注入する代わりに針そのもので皮膚深部を加熱する」です。水光注射のように薬液を注射する事はありませんので、刺入させる針を「より細く」「より高密度」にすることが可能になりました。
具体的には水光注射の針の太さは最も細い針でも33Gですが、ポテンツァでは34Gです。
針の密度も水光注射では約1×1cmで9本のところをポテンツァでは最高49本です。
ニードルRFの効果は①針で穴を開ける事による線維芽細胞への刺激とコラーゲン増生②針からのRF（ラジオ波）による皮膚収縮、の２点です。
具体的には「たるみの引き締まり」「毛穴の改善、平坦化」「小じわの改善」「皮膚の張り」「小顔効果」「肝斑の改善」などです。

水光注射は針が9本、ポテンツァでは最高49本。

5）ドラッグデリバリーとは？

これこそがポテンツァ独自の技術となります。CPチップ専用の機能となります。

＜針で皮膚に穴を開ける（線維芽細胞の刺激によるコラーゲン増生）＞

↓

＜その針からRFラジオ波を照射（皮膚を熱凝固させてたるみや小じわを改善）＞

↓

＜その針を抜くと同時に陽圧による針穴への薬液の注入（薬液による美肌効果）＞

という機序がドラッグデリバリーです。

３つの作用を１アクションで済ませてしまう優れものです。
他社製品でもドラッグデリバリー機能をうたっているものがありますが、それは「皮膚に薬剤を塗布しておいてニードルで穴を開ける際に皮膚内に浸透する事を期待する」というレベルのものです。
しっかり、陽圧をかけて皮膚内に薬剤を注入出来るのは現在のところポテンツァだけです。

6）主なチップの種類

• CPチップ

  これがポテンツァの一番の「売り」のチップです。
  いわゆる「ドラッグデリバリー」が可能なものです。「針の刺入→RFによる熱作用→針を抜くと同時に陽圧による薬剤の浸透」という３つの作用を１アクションで可能にしました。
  このチップの導入が当院でのポテンツァ購入の決め手でした。他社製品にはない大きなメリットです。

  

• Sチップ

  CPチップが開発されるまではSチップが主流でした。
  針を刺入してそのままRFで熱作用を加える、という作業を１アクションで行います。
  現在でもドラッグデリバリーが不要な治療では活躍しています。
  開いた毛穴の改善やニキビ跡に最適なチップとなります。

  

• ダイアモンドチップ

  これも比較的新しく開発されたチップになります。このチップには針がありません。
  ですからポテンツァ本来のニードルRFではなくサーマクール的な目的で使用します。皮膚深部や脂肪層上層への熱作用による引き締め効果です。
  ただし、サーマクールと比較するとエネルギー密度や深部到達度では劣ります。「手軽なサーマクール」といった位置付けです。

  

  ダイアモンドチップのイメージ動画（ジェイシス社提供）
• iチップ

  太めの針が1本だけのチップとなります。使用目的はニキビ治療です。ニキビの原因である皮脂腺に直接絶縁針を刺入して強力に焼灼します。同時に毛穴の改善も得られます。皮膚科治療で中々改善しないニキビには朗報です。（宇都宮院では導入無し）

  

• SFAチップ

  毛穴や小じわ、ニキビ跡専用のチップとなります。
  皮膚表面を細かく焼灼するものでフラクショナルレーザーの弱い版、と考えて下さい。ただし、決して皮膚に穴が開いている訳ではありません。

  

  SFAチップのイメージ動画（ジェイシス社提供）

7）短期経過

院長の僕も実際に受けましたが思ったよりもダウンタイムが少なくて驚きました。
皮膚の熱感は殆どなく、赤みは３時間くらいで目立たなくなりました。翌日には何事もなかった感じです。

下記の写真のように治療直後は皮膚の赤みと顔全体の腫れが現れています。
翌日には赤みは殆ど無く顔全体が引き締まった感じです。（これはポテンツァの即時的な効果かもしれませんし、僕の顔のむくみや写真の撮影条件によるものかもしれません）

料金

よくあるご質問

ポテンツァとはどのような機器ですか？

一般的に「ニードルRF」と呼ばれる機器に分類されます。皮膚深部に針を刺入すると同時にRF高周波（電気の一種）を流して皮膚を熱凝固させます。更に「ドラッグデリバリー」システムも最近では追加されました。

「ドラッグデリバリー」とは何ですか？

従来の「ニードルRF」は皮膚深部に針を刺入すると同時に高周波（電気の一種）を流して熱凝固させて「毛穴の改善」「皮膚の張り」「小じわ」「たるみ」「肝斑」などを治療していましたが、針を刺入した穴に薬液を浸透させる技術がドラッグデリバリーです。刺入した針を抜くと同時に「陽圧」をかけて薬剤を針穴に入れるものです。この薬剤には数種類ありますので、治療目的に合わせて選択します。

ポテンツァにはダウンタイムはありますか？

針を刺入する場合は平均２〜３時間の皮膚の赤みや軽度の腫れが出ます。翌日には赤みはほぼ消失します。腫れは残っていても軽度ですので日常生活には支障ない範囲です。また、ダイアモンドチップを使用する際は針がありませんので赤みや腫れも殆ど現れません。比較的、ダウンタイムの少ない治療となります。

ポテンツァは痛いのですか？

はい、皮膚に針を刺入しますのでどうしても痛みがあります。必ず麻酔クリームを塗布してから治療を行います。ただし、ポテンツァの中でもダイアモンドチップには針がありませんので、麻酔不要です。

ポテンツァの全てのチップを宇都宮院では導入していますか？

いいえ、全ては取り揃えていません。定番のSチップ、ドラッグデリバリーが可能なCPチップ、サーマクール的なダイアモンドチップ、フラクショナル的なSFAチップを現在のところは導入しています。

毛穴やニキビ跡のクレーターにはポテンツァとダーマペン４はどちらが有効ですか？

開いた毛穴には熱凝固を加えるポテンツァが圧倒的に効きます。特に皮脂分泌の多い患者様にはポテンツァをお勧めします。RF高周波による皮脂腺の熱凝固作用には目を見張るものがあります。ニキビ跡のクレーターで陥凹が浅いものではダーマペン４でも良いと思います。ただし、ダーマペン４は最低でも皮膚の赤みが２〜3日は残ります。また、価格的にダーマペン４はポテンツァよりも安価なので「ダウンタイムがあっても構わない」方にはダーマペン４も選択肢です。

ポテンツァと水光注射はどちらが有効ですか？

どちらも有効ですが、RF高周波による皮膚の熱凝固が行えるポテンツァが理論上は優れています。ポテンツァのドラッグデリバリーは「水光注射＋皮膚の熱凝固」というイメージです。水光注射には付きものの「皮膚表面の張りによる赤い点々」がポテンツァの場合は殆ど現れません。また、水光注射では針の本数がチップあたり9本であるのに対してポテンツァでは通常１６〜25本と高密度なのも優位です。しかし「薬液を皮内に注入する」という目的ではポテンツァのドラッグデリバリーより水光注射の方が確実です。あくまでもポテンツァのドラッグデリバリーはニードルRFに追加、という考えです。また、料金的には水光注射の方が安価です。患者様の治療目的とご予算をドクターや看護師とよく相談の上で選択して頂いています。

ポテンツァとハイフはどちらが有効ですか？

ポテンツァは皮膚深部までの効果ですが、一方ハイフは皮膚よりも深い筋膜への熱作用が中心です。ですから競合する治療方法ではありません。皮膚深部の筋膜からリフトアップしたい場合はハイフ、皮膚に関する効果であればポテンツァ、という使い分けです。もちろん、同日にハイフとポテンツァを行う事も可能です。

ポテンツァとサーマクールはどちらが有効ですか？

ポテンツァのダイアモンドチップとサーマクールは原理的に似ている治療方法となります。しかし、サーマクールの「皮膚深部〜脂肪層への熱作用」の方が圧倒的に効果が高いのが現状です。しかし、その分サーマクールは治療費も高額です。予算と目的に合わせて使い分けて頂きたいと思います。ダイアモンドチップではないCPチップやSチップとサーマクールを同時に受ける事も可能です。

ポテンツァは日本製ですか？

いいえ、韓国のジェイシス社の製品となります。残念ながら日本での厚生労働省の認可はまだ取得していません。韓国の厚生労働省に相当するKFDAの認可は取得しています。

ポテンツァを受けられない人はいますか？

皮膚に炎症のある方や皮膚に感染のある方、金属アレルギーのある方、ドラッグデリバリーの薬剤が合わない方、などは施術を受けられません。特にドラッグデリバリーの際は薬剤アレルギーが無くても「妊娠中の方」「授乳中の方」は受けられません。また、ダイモンドチップを使用する際は心臓ペースメーカーや体内に金属（歯科の詰め物などは除く）が入っている方は受けられません。

ポテンツァが施術できない部位はありますか？

上眼瞼（目の上）や下眼瞼(目の下）は皮膚が非常に薄い場所ですので、ポテンツァの治療対象外となります。ただし、皮膚を牽引するなどの工夫を行なえば、目の近くでもある程度の範囲までは治療可能です。ドクターや看護師に相談してみて下さい。

ポテンツァの副作用はありますか？

皮膚の「赤み」「腫れ」「針穴」「僅かな出血」などが一過性に見られます。赤みや腫れは数時間で消失する事が殆どです。治療当日の洗顔やお化粧は控えて頂きます。翌日からは洗顔、お化粧は可能です。ポテンツァの中でもダイモンドチップを使用する場合は上記の副作用はほぼありません。

ポテンツァの治療後に洗顔やお化粧は直ぐに出来ますか？

治療当日の洗顔やお化粧は控えて頂きます。翌日からは洗顔、お化粧は普段通り可能です。ポテンツァの中でもダイモンドチップを使用する場合は治療直後からの洗顔やお化粧も構いません。