美肌
~ アザ(太田母斑、蒙古斑、扁平母斑など) ~
太田母斑、ADM、蒙古斑、扁平母斑、表皮母斑など殆どがレーザー治療の対象です!
アザといっても色々な種類があります。美容医療で扱うアザの主な種類は以下の通りです。
太田母斑・遅発性太田母斑・ADM
東洋人に多くみられる顔のアザが「太田母斑(おおたぼはん)」です。生まれつきの事もありますが小学生、中学生頃から現れる方も多くいらっしゃいます。これは真皮(皮膚の深い部分)にメラニンの沈着がおこり、一種のイレズミのような状態になっているものです。眼球の白目の部分が青くなっている方もいます。命に関わるものではありませんが、青褐色~茶褐色の太田母斑が顔にある場合は見た目にも影響して、深刻な悩みとなってきます。
おおよそ20歳以降に出現してくるものを「遅発性太田母斑」と呼んでいます。生まれつきの場合の多くは顔の片側だけですが、遅発性太田母斑は左右対称、両側に現れる事が殆どです。遅発性太田母斑はADM(acquired dermal melanocytosis)後天性真皮メラノサイトーシスとも呼ばれています。遅発性太田母斑は色調が薄い場合も多く、このページの症例写真の方のように茶褐色の色が濃い方は比較的少ないです。遅発性太田母斑の色調が薄い場合は診断に苦慮します。「最近、両頬に薄いシミが出来たので、近くの皮膚科でルビーレーザーを照射したけれども変化が少なかった」「両頬に薄いシミが出来たので光治療を受けたのに全く良くならなかった」などという場合は「加齢性シミ」ではなく遅発性太田母斑ADMの可能性があります。
1回目照射後、約5ヶ月です。明らかに薄くなっています。このまま2回目の照射を行いました。
2回目照射後、約3ヶ月です。更に薄くなったのが分かります。3回目の治療は行わずに、このまま経過観察としました。
2回目照射後、約6ヶ月後です。完全と言って良いほどに薄くなり、太田母斑は消えました。もちろん、再発もありません。太田母斑や刺青の治療は「頻繁な治療回数よりも治療間隔を空ける」のがポイントだと考えています。
遅発性太田母斑と呼ばれるアザの一種です。この患者様の場合は30歳頃から現れ始め、左右対称で頬部に出来ているので一見「肝班」と診断してしまう可能性がありますが、「色の濃さ」「斑点状の色素班」などで区別されます。
肝班に見られる生理と関係した増減もありません。
1回目照射後4カ月です。
2回目照射後3カ月です。
3回目照射後8カ月です。
治療前の左斜めの写真です。
治療前の右斜めの写真です。
1回目照射後の左斜めの写真です。
1回目照射後の右斜めの写真です。
2回目照射後の左斜めの写真です。
2回目照射後の右斜めの写真です。
3回目照射後の左斜めの写真です。
3回目照射後の右斜めの写真です。
太田母斑と呼ばれる東洋人に多く見られるアザです。皮膚の深い部分(真皮)にメラニン色素が溜まっている状態です。お尻の蒙古斑や入れ墨と同じ状態と思って下さい。これも生まれつきもしくは思春期辺りから現れてきます。また、遅発性太田母斑と言って30歳過ぎから現れて来るものもあります。当院では60歳を過ぎてから現れた、という患者様もいました。QスイッチYAGレーザーで3ヶ月毎に5回程度治療します。
このような「小鼻にシミが出来てしまった」というのも太田母斑が殆どです。これもQスイッチレーザーやピコレーザーの数回の照射で目立たなくする事が可能です。
蒙古斑・異所性蒙古斑・青色母斑・伊藤母斑
扁平母斑・カフェオレ斑・ベッカー母斑・点状集族性母斑
一見、普通のシミのようにみえる薄茶色のアザです。これも太田母斑と同様に生まれつきのこともありますが、思春期から現れることも多くあります。小さな茶色の斑点が身体中に多数見られるものはカフェオレ班とも呼んでいます。直径1.5cm以上のカフェオレ斑が6個以上ある場合は神経繊維種症(レックリングハウゼン病)という遺伝性疾患の可能性があるので、総合病院などの受診をお勧めしています。 扁平母斑で毛が生えているものをベッカー母斑と呼んでいますが、このタイプでは先にレーザー脱毛を行ってから扁平母斑の治療を始めます。扁平母斑の中に1~2mmの黒い斑点があるタイプを点状集族性母斑と呼んでいます。扁平母斑とホクロ(色素性母斑)が混在したものです。顔や首、前腕などの露出部位では気になりますが、非露出部位であれば再発の可能性のあるレーザーではなく切除縫合してしまった方がよい場合もあります。
表皮母斑
ミミズ腫れのように盛り上がっている線状のあざです。面状に発生している場合もあります。生まれたばかりの時はあまり目立ちませんが加齢とともに目立ってくることも多くあります。表皮の角化細胞の過形成が原因です。小範囲であれば切除縫合という治療方法もあります。広範囲で切除縫合に適さない場合は、殆どが炭酸ガスレーザーの対象となります。再発の可能性はありますが「再発しても治療前よりは明らかに改善している」という患者様が殆どです。
生まれつきの表皮母斑です。ここまで広範囲の方は少ないと思います。再発の可能性のあるものなので、最初はテスト照射(写真の黒いマーカー部分)を行いました。数ヶ月、経過を見てテスト照射部位に明らかな再発が無かったので全体的に炭酸ガスレーザーで焼灼して平坦化させました。もちろん局所麻酔の注射は必要です。麻酔クリームでは対応不可です。治療範囲が広いので、この患者様の場合は小範囲に分けて複数回の治療を行いました。
多少の再発は見られますが、患者様的には許容範囲内とのことでした。治療後は脱上皮された状態ですので抗生剤含有ステロイド軟膏とハイドロコロイド系絆創膏でケアします。2週間程度で上皮化します。フィブラストスプレー(bFGF細胞増殖因子)は使用していません。
脂腺母斑
生まれつきで殆どが頭部に発生する脂腺由来の過誤腫です。放置しておくと盛り上がって腫瘤を形成し、悪性化する可能性があるので幼少時(一般的には就学前)に外科的(切除縫合など)に治療して病理検査が行われる場合が殆どです。美容外科での治療対象とならない場合が多いです。(僕が医師になって初めて執刀したのが脂腺母斑の切除縫合でした。)
色素細胞性母斑・ホクロ
生まれつきのホクロのことです。ホクロに準じて治療を行います。
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血管腫・赤ら顔・毛細血管拡張症・陰嚢被角血管腫
血管腫などもアザの一種で、レーザー治療の対象です。
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施術の流れ
1.診察・カウンセリング
経験豊富な医師があざの種類、状態、他の疾患の有無(肝斑の合併など)など充分に診察します。患者様のご希望を伺い最適な治療プランを決めていきます。
2.実際の治療
治療はアザの種類によって違います。
下記にアザの種類による治療方法の一覧表を作成しました。ご参考にして下さい。
太田母斑・遅発性太田母斑・ADM | 蒙古斑・異所性蒙古斑・青色母斑・伊藤母斑 | 扁平母斑・カフェオレ斑 | 表皮母斑 | 点状集族性母斑 | |
---|---|---|---|---|---|
使用するレーザー | QスイッチYAGレーザー1064nm | QスイッチYAGレーザー1064nm | QスイッチYAGレーザー532nmなど | CO2レーザー | QスイッチYAGレーザー532nm、1064nm、CO2レーザー |
麻酔の有無 | 麻酔必要 | 麻酔必要 | 広範囲の場合は麻酔クリーム | 必ず局所麻酔注射必要 | 広範囲の場合は麻酔クリーム、局所麻酔 |
出血の有無 | 原則ない | 原則ない | 無し | 出血あり | 原則ない |
絆創膏の有無 | 原則不要 | 原則不要 | 原則不要 | 必要(1週間程度) | 原則不要 |
治療間隔 | 3ヶ月以上 | 3ヶ月以上 | 1ヶ月以上 | 再発した場合はその都度 | 1ヶ月以上 |
再発の有無 | 無し | 無し | 可能性あり | 可能性あり | 可能性あり |
料金の目安(広範囲の場合は要相談) | 1cmあたり¥11,000 | 1cmあたり¥11,000 | 1cmあたり¥11,000 | 長さ1cmあたり¥11,000 | 診察の上で決定 |
院長コメント | 遅発性太田母斑・ADMの患者様は気付かないだけで多いと思います | 臀部では完全に色素が無くならない(深い)場合もあります | 全部を一度に治療せずに、先ずはテスト照射をお勧めします | 小範囲の場合は切除縫合も選択肢です | 大きさや面積によっては切除縫合も選択肢です |
4.施術費用の目安(広範囲の場合は要相談)
施術法 | 料金(税込み) |
---|---|
太田母斑・遅発性太田母斑・ADM | 1cmあたり¥11,000円 |
蒙古斑・異所性蒙古斑・青色母斑・伊藤母斑 | 1cmあたり¥11,000円 |
扁平母斑・カフェオレ斑 | 1cmあたり¥11,000円 |
表皮母斑 | 長さ1cmあたり¥11,000 |
点状集族性母斑(扁平母斑とホクロの混在型) | 診察してから決定 |
麻酔クリーム | ¥1,100~ |
よくある質問
アザとは何ですか?
アザの事を正式には母斑(ぼはん)と言います。生まれつきの色素異常症を一般的にはあざと呼んでいます。ただし、生まれつきではなく思春期から現れる偏平母斑や30歳過ぎからでも現れる遅発性太田母斑などもあります。また、色素沈着でない白斑(皮膚が白くなる)という疾患もあります。
アザとホクロは違うものですか?
明確な違いはありません。ホクロの正式名称は色素性母斑、母斑細胞性母斑とも言い、生まれつき身体に出来ている母斑(あざ)の一種とも言えます。ただし、殆どのホクロは生まれつきではなくて年齢や紫外線などが原因で徐々に増えてくる事が多いようです。
アザとシミはどう違うのですか?
年齢や紫外線、外的刺激などシミは原因がありますが、アザには明確な原因がありません。強いて言えば遺伝的要因が示唆されています。
アザにはどんな種類がありますか?
アザには茶褐色、黒色、青色、赤色などがあります。「自然に消えるもの、消えないもの」「生まれつきのもの、後から現われてくるもの」など様々な種類があります。太田母斑は濃紺色、薄紺色、茶褐色など色のバリエーションがあります。扁平母斑やカフェオレ斑は主に薄茶です。毛細血管の増殖による血管腫は赤アザと呼ばれています。
アザは癌(悪性化)になりますか?
大きな色素細胞性母斑(面積が10㎠以上の真っ黒で有毛性のホクロなど)は将来的に悪性化(癌)する可能性が高いと言われており、早期の切除が推奨されています。また、頭皮などに出来る脂腺母斑も将来的に悪性化する可能性があるので、幼少時に切除することが多いです。太田母斑や扁平母斑が時間と共に悪性化する、という報告はありません。
太田母斑は自然に薄くなる可能性はありませんか?
今までのところ、太田母斑が自然に薄くなった、消えたという報告はありません。年齢が若い方がレーザー治療の反応が良いと言われています。
肝斑もアザの一種ですか?
肝斑は女性ホルモンの関係で「目の下を除いた両頬や鼻下などに左右対称に出来る表皮が主の色素沈着」です。アザではありません。肝斑と区別が付きにくいものに遅発性太田母斑があります。しっかり診察すると大抵は判別可能です。肝斑はトラネキサム酸の内服とトレチノインによるピーリングで治療しています。