しわ・たるみ・若返り
~ 糸リフト・スレッドリフト・スプリングリフト ~
切らずにアゴや頬の皮膚のたるみ、ほうれい線、ブルドッグ顔を改善させる、即効性のある治療方法です。宇都宮院では「吸収性の糸(アンカーPLUSなど)」と「非吸収性の糸(スプリングリフト)」の両方を扱っています。
糸リフトとは
糸リフト(スレッドリフトとも呼びます)は糸に「COGコグ」と呼ばれる突起物が付いており、コグが皮下組織に引っかかって皮膚を引き上げる、という原理です。
フェイスリフトのような大掛かりな外科的な手術でなく、局所麻酔で出来る、ダウンタイムの比較的少ない即効性のある治療方法です。(2023年10月現在)
糸リフト(スレッドリフト)の種類
糸リフト(スレッドリフト)には実に様々な種類、製品があります。糸の材質的にはPDO(1年以内に吸収)やPCL(1~1.5年で吸収)に代表される「吸収されてしまう糸」とスプリングリフトなどに代表される「非吸収性の糸」の2種類があります。また、糸の牽引方法としては糸を筋膜や骨膜などの比較的固い組織に縫合固定するタイプ(フィックスド)と固定が必要ないタイプ(フローティング)の大きく2つに分けられます。宇都宮院で主に使用しているアンカーPLUSやスプリングリフトは全て「縫合固定の不要なフローティングタイプ」となります。
吸収性糸リフトには実に様々な種類、メーカーがあるようです。共立美容外科宇都宮院では吸収性の糸は主に韓国AESPIO社製品、非吸収性のスプリングリフト糸はフランス1st SurgiConcept社製品を導入しています。
糸リフト(スレッドリフト)の歴史
糸リフトの最初はアプトスと呼ばれる「バーブ(コグの事です)と呼ばれる引っかかりがついたナイロン糸」だったと記憶しています。このアプトスを湾曲させて皮下に挿入して、その反発力で皮膚や皮下組織を引き上げる、というものでしたが当然効果は非常に低く直ぐに戻ってしまう事も多かったようです(当院では殆ど行なっていません)その後にワプトス(アプトスをループ状にして筋膜に縫合固定するもの)やXtosis(アプトスをX状に交差させて牽引力を強化する方法)、シルエットリフト(巨大なコグが8ヶ所付いており牽引力は強力だが元に戻るのも早い)、S-Sケーブルスーチャー(小切開を伴うもので単独では行わずフェイスリフトと同時に行う場合が多い)などが現れましたがいずれも現在は殆ど姿を消しています。
2015年頃からは韓国製のPDO、PDSなどのコグの付いていない吸収糸による「ショッピングリフト」が急速に流行しています。リードファインリフトというのもこの種類です。これはコグで引き上げるのではなく「挿入された糸の周囲にコラーゲンが生成されて牽引効果が長期に渡って続く」などとホームページや糸メーカーのサイトに書かれていますが、効果は僅かでした。
その後に吸収糸にコグの付いているタイプが出現して、治療直後からはっきりと効果が実感出来るようになりました。しかし、吸収糸は溶けるまでずっと効果が持続する訳ではなく、治療後2~3ヶ月目から効果が徐々に減弱してしまう場合が殆どです。
2010年頃から日本にも導入されてきた溶けない糸のスプリングリフトは効果の持続が平均5年以上という優れものですが、腫れやダウンタイムの点からは溶ける糸の方が優位です。
以下に当院で導入している糸の詳細を記述します。
アンカーPLUS
針の太さは19Gと細めの糸リフトです。19Gですので、現在流通しているコグ付きのスレッドリフトの中では最細レベルです。もちろん、局所麻酔は必要ですが針が細いので麻酔の範囲や量も最小で済みます。その分、ダウンタイムも少ない治療となります。片頬で2本以上の本数をお勧めしています。とりあえず2本挿入しておいて、後日にもう2本追加、というような治療方法も可能です。頬だけでは無く、首やコメカミなどにも使用可能です。素材はPDOですので1年以内に吸収されるタイプとなります。コグは下記の写真でも分かるように「2方向」になっており、引っ掛かり作用を強めています。
アンカーMAX-L
使用する針の太さが17Gと太くなっている分、糸も太くなりコグも大きく牽引力がアップした糸がアンカーMAX-Lです。牽引力が強い分、皮下脂肪の薄い(痩せ気味)の方には向いていません。「タルミの強い部分にアンカーMAX-Lを2本、その周囲にアンカーPLUSを2本」などというコンビネーションでの使用方法も可能です。素材はPCL(ポリカプロラクトン)ですので吸収されるまでに1.5年程度かかります。
アンカーDX
このタイプは後述するスプリングリフトの吸収糸版となります。1本の糸に対して針が2本(バイニードル)付いており、1つの刺入孔からループ状や上下方向に糸を挿入出来るタイプです。挿入方法もX字にクロスさせるXtosisが基本的な使用方法となります。こちらは吸収性糸ですがXtosisですので効果が長続きします。場合によっては1年以上の効果も期待できます。スプリングリフトのような異物が一生体内に残ってしまうのは不安だ、という患者様には最適です。素材はPLCL(ポリカプロラクトン+ポリ乳酸)ですので吸収されまでには1.5年程度と言われています。
VOVLIFT Premium
材質は素材はPCL(ポリカプロラクトン)です。吸収されるまでの期間は約1.5年程度です。
アンカーDXと同等の製品ですが、針の長さが18cm(アンカーDXは12cm)と長いのが特徴です。
「顔の大きい方」「針の刺入部位が頭髪内の場合」などに使用します。
バイニードル(1本の糸に対して針が両端に2本付いているタイプ)なので主に糸をクロスさせるXtosisで使用します。
スプリングリフト
2010年の秋頃から日本に導入されている定番的な製品です。現在のところでは「最も効果が高い」と僕的に考えている治療方法です。従来のスレッドリフトで用いられていた糸は「固い伸縮性のない」ものでした。ですから、引き上げる力は強かったのですが、逆に元に戻る力も強く効果の持続性に欠けるものが多かったのです。
このスプリングリフトはフランスの「1st SurgiConcept社」で開発されたもので、一番の特徴は「糸自体に伸縮性がある」という点です。ですから食事をしても、カラオケを歌っても糸によって皮膚が引き攣れる事は殆どありません。非常に自然な表情が得られます。また、従来のスレッドリフトの糸はひっかかりが「点状のポイント(シルエットリフトでは最大8ポイント)」だったのに対してこのスプリングリフトは「糸自体が全て立体状コグ(引っかかり)」となっているために「ポイントではなく線状に立体的に引っかかる」ので効果が高いのです。
スプリングリフトの実際
側頭部の頭髪内などにに数mmの穴を開けて、そこからほうれい線や下顎に向けて片側8本(タルミの程度によっては片側6本や4本)のスプリングリフトの糸を「熊手」状に挿入します。
糸を挿入しただけでは上方に引き上げる力がありませんので、頬とは逆方向の頭髪皮下にスプリングリフトの糸を「熊手状の8本とクロス」させます。このクロス(Xtosis)させる事によって縫合固定を行わなくても8本の糸が上方に引き上げられる力が加わり、長期間継続されます。
皮膚表面は縫合しませんので抜糸も不要、洗顔やシャンプーは翌日から必須(可能ではなく必ずしてください)です。
元々、糸に過度の緊張がかかっていませんので「外れる」という事がありません。
最長で9年以上の経過を見ているモニター患者様がいらっしゃいますが、5~6年程度は効果が持続する患者様が多いです。(2023年10月時点)
術前正面では二重あごが一番気になる、とのことでした
術後1ヶ月、二重あごが改善されて頬にボリュームが出て若く見えます
術前左斜めでは二重あごとマリオネットラインがはっきりと分かり、下垂した顔貌となっています
術後1ヶ月、二重あごだけでなくマリオネットラインが改善し、下顎~頬がリフトアップしています
術前右斜めでは二重あご、ほうれい線とマリオネットラインがはっきりと分かります
術後1ヶ月、二重あごだけでなくほうれい線とマリオネットラインも明らかに改善しています。顔の下1/3のボリュームが上方へ移動して若々しく見えます。
治療前の正面
ブルドック顔がきになります。
片側8本のデザイン
治療後3日目
腫れや内出血がまだ残っていますが効果ははっきり実感できます。
治療後1ヶ月後
リフトアップ効果が素晴らしいです。10歳若返った印象です。
1年後
フェイスラインがしっかりアップしていますがほうれい線は残っています
約2年後
フェイスラインはまだまだ下垂していません。ヒアルロン酸注入により若返りました。
3年後の正面です。下顎部の下垂が出て来ていますが、まだまだ治療前のブルドック顔には戻っていません。ほうれい線にヒアルロン酸注入を行った直後なので、少し内出血があります。
丸4年経過後の正面写真です。3年前よりも更に加齢が進んでいますが、ブルドック顔には戻っていません。患者様の満足度もまだまだ高いです。
丸5年経過後の正面写真です。4年前よりも少し若返った(リフトアップした)印象さえあります。まだまだ、スプリングリフトの効果が持続しています。
約7年経過の状態です。さすがに下顎角あたりのタルミが再発しています。ほうれい線などへのヒアルロン酸注入を行なっていますので、7年前のスプリングリフト治療前と比べると若々しい印象は保たれていると思います。
約9年経過した状態です。下顎角あたりのタルミは9年前の治療前よりも少し進行していると感じます。さすがに9年も経過するとスプリングリフトの効果は全くと言って良いほど無くなっています。よく言えば「7〜8年は老化の進行がある程度抑えられた」とも言えます。
治療前の斜め左です。
デザインです。片側8本です。
治療後3日目です。
治療後1ヶ月後です。
3年後の左斜めです。フェイスラインのアップは続いており、まだまだ治療前のブルドック顔には戻っていません。ほうれい線にヒアルロン酸注入を行った直後なので、少し内出血があります。
丸4年経過後の左斜め写真です。3年前と比べると僅かにフェイスラインの下垂が現れていますが、ブルドック顔には戻っていません。患者様の満足度もまだまだ高いです。
丸5年経過後の左斜め写真です。右側よりもフェイスラインのリフトアップ効果が高いのが分かります。まだまだ持続しています。患者様の満足度も高いです。
治療前の斜め右です。
デザインです。片側8本です。
治療後3日目です。
治療後1ヶ月後です。
3年後の右斜めです。フェイスラインのアップは続いており、まだまだ治療前のブルドック顔には戻っていません。
丸4年経過後の右斜め写真です。それなりに加齢が進んでいますが、3年前と比べてもそれ程老化した印象はありません。患者様の満足度もまだまだ高いです。
丸5年経過後の右斜め写真です。少しフェイスラインの下垂(たるみ)が現れてきていますが、まだまだ効果が持続しています。
治療前の正面です。
片側4本挿入後。かなり改善しています。
更に4本を追加しました。
顔の下1/3がかなりシャープになりました。
1年8ヶ月後、加齢による下垂は進んでいますが治療前よりは顔の下1/3がリフトアップして、頬付近にボリュームが出ています。
治療前の右斜めです。
ブルドッグのように頬が下がっています。
4本挿入後です。劇的に改善しました。
更に4本、合計8本挿入後です。
更に改善してタルミが殆ど目立たなくなりました。
1年8ヶ月後の右斜め写真、治療前よりは明らかにリフトアップしている効果が続いています
治療前の左斜めです。
ブルドッグのように頬が下がっています。
4本挿入後です。劇的に改善しました。
更に4本、合計8本挿入後です。
更に改善してタルミが殆ど目立たなくなりました。
頬の辺りが持ち上げられた皮膚で少しボリュームアップしていますが、気にならないレベルです。首もスッキリした印象になりました。
1年8ヶ月後の右斜め写真、治療前よりは明らかにリフトアップしている効果が続いています。
治療前の正面、この方のフェイスラインはそれほど崩れていません。いわゆる「ブルドック顔」にはなっていないので「老化予防」も含めて治療を行いました。
片顔に8本のスプリングリフトを挿入しました。治療後約1ヶ月です。
治療前の左斜め
フェイスラインがすっきりして、ほうれい線とマリオネットラインが浅くなっているのが分かります。
治療前の右斜め
二重あごやフェイスラインがアップしてすっきりしました。特に顔面の下1/3がアップして若々しく見えます。
治療前の正面
約1ヶ月後、改善はしていますが頬のたるみは残っています
治療前の右斜め
約1ヶ月後の状態、改善はしていますが頬のたるみは残っています。後日、追加手術を予定しています。
治療前の左斜め
約1ヶ月後の状態、改善はしていますが頬のたるみは残っています。後日、追加手術を予定しています。
治療中で糸が出ている状態
治療直後の状態、腫れてはいますがそれ程でもないと思います
治療前のデザイン、頬に8本頭髪部に2本挿入します
治療中で糸が出ている状態
治療直後の状態
治療前のデザイン、頬に8本頭髪部に2本挿入します
治療中で糸が出ている状態
治療直後の状態
併用療法
糸リフト単独でも効果は得られるのですが、より満足度の高い結果をご希望の場合は他の治療方法との組み合わせも有効です。
ヒアルロン酸注入 | 糸リフトでは完全に消えなかった「ほうれい線」や「マリオネットライン」「目の下のクマ」などに対して有効です。また、糸リフトで適応の無い眉間や額、目尻、鼻下、鼻上などのシワにもお勧めします。 |
HIFUハイフ | 糸リフトが作用する皮下組織よりも深部の筋膜に作用して顔をリフトアップさせます。 |
ボトックス注射 | 糸リフトでは改善できない表情シワに有効です。4〜6ヶ月の効果の持続です。糸リフトと同日の治療も可能なダウンタイムの無い治療です。 |
糸リフトの料金
色々なタイプの糸が出回っていますが、現在のところ当院で導入しているのは溶ける糸は韓国のGRAND AESPIO社の「アンカーPLUS」と「アンカーMAX-L」「アンカーDX」、溶けない糸はフランスの1st SurgiConcept社製の「スプリングリフト」です。
今後も様々なタイプの糸が開発、販売されてくると思われます。その都度、自分自身でも試して効果が高く安全性の高いものを導入していきます。
スプリングリフト | アンカーPLUS | アンカーMAX-L | アンカーDX | |
---|---|---|---|---|
効果の持続 | 5~6年以上が多い | 2~3ヶ月が効果の最大、その後徐々に効果が減弱していく | 2~3ヶ月が効果の最大、その後徐々に効果が減弱していく | 1年以上効果が持続する。その後徐々に効果が減弱していく |
適応 | 顔面、首など | 顔面、首など | 顔面、首など | 顔面、首など |
レントゲンやCT.MRI | 写らない | 写らない | 写らない | 写らない |
抜糸 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
材質 | ポリエステルとシリコンのコンビネーション | PDO(ポリデオキサノン) | PDO(ポリデオキサノン) | PLCL(ポリカプロラクトン+ポリ乳酸) |
認可状況 | 厚労省では未認可 CE認可 |
厚生労働省では未認可 FDA、CE認可 | 厚生労働省では未認可 FDA、CE認可 | 厚労省では未認可 CE認可 |
吸収期間 | 半永久的に残る | 6~12ヶ月 | 18~24ヶ月 | 18~24ヶ月 |
再手術 | 可能(同一部位は2回程度まで) | 何度でも同一部位が可能 | 何度でも同一部位が可能 | 何度でも同一部位が可能 |
抗生剤の事前服用 | 必須(前日から1日3回の抗生剤の服用) | 希望があれば服用する | 希望があれば服用する | 希望があれば服用する |
抗生剤点滴 | 必須(術後に15分程度かけて点滴する) | 不要 | 不要 | 不要 |
洗顔・シャンプー | 翌日から必ず行う | 当日から必ず行う | 当日から必ず行う | 当日から必ず行う |
副作用、トラブル | ・たるみが多い方では「皮膚の余り」が残る ・頬骨が横に張り出している方では現在よりも強調される ・1ヵ月以上経過すると糸の抜去が困難 ・感染(当院では13年間で5名)を起こす可能性があり、その場合は原則的に抜去する必要がある ・頭痛(当院では12年間で1名のみ、1ヶ月で軽快) |
・たるみが多い方では「皮膚の余り」が残る ・頬骨が横に張り出している方では現在よりもやや強調される可能性がある |
・たるみが多い方では「皮膚の余り」が残る ・頬骨が横に張り出している方では現在よりもやや強調される可能性がある |
・たるみが多い方では「皮膚の余り」が残る ・頬骨が横に張り出している方では現在よりもやや強調される可能性がある |
院長コメント | ・原則、糸を交差させる方法(Xtosis)で使用する ・糸の伸縮性のために顔に表情を作っても自然な仕上がり ・糸に余分な力が加わらないために効果も一番長く持続する ・過去にフェイスリフト手術・脂肪吸引などで皮下に癒着があると効果が低くなる可能性がある |
・術後1週間程度のひきつれ感がある ・過去にフェイスリフト手術・脂肪吸引などで皮下に癒着があると効果が低くなる可能性がある |
・術後1週間程度のひきつれ感がある ・過去にフェイスリフト手術・脂肪吸引などで皮下に癒着があると効果が低くなる可能性がある |
・原則アンカーDXは糸を交差させる方法(Xtosis)で使用する ・術後1週間程度のひきつれ感がある ・過去にフェイスリフト手術・脂肪吸引などで皮下に癒着があると効果が低くなる可能性がある |
セット料金 | 両頬8本 308,000円 両頬12本 396,000円 両頬16本 484,000円 両頬20本 572,000円 |
1本22,000円 5本目以降は1本16,500円 |
1本27,500円 5本目以降は1本22,000円 |
両頬4本 198,000円 両頬8本 297,000円 両頬12本 396,000円 |
各種Q&A
溶ける糸リフトはどれくらい効果が持続しますか?
糸の材質によって異なります。PDOは完全に吸収されるまでに約1年と言われています。ですが、1年間同じ効果がずっと持続する訳ではなく徐々に戻ってきます。PCLやPLCLは完全に吸収されるまでに18~24ヶ月と言われています。こちらも18~24ヶ月ずっと効果が持続する訳ではありません。効果のピークはどちらも治療直後で2〜3ヶ月目から徐々に効果が減弱していきます。
溶けない糸リフトはどれくらい効果が持続しますか?
個人差はありますが当院で導入しているスプリングリフトは5、6年持続する方が多いです。やはり効果のピークは治療直後です。もちろん老化現象自体を止めるものではありませんので、治療直後の状態が5~6年間ずっと維持される訳ではありません。徐々に戻ってきます。
糸リフトはしばらく「引きつれる」と聞いたのですが本当ですか?
糸リフトは糸でリフトするのが目的ですので、ある程度の引きつれが出るのは当然です。逆に引きつれなければ効果が無い、という事になります。「口が開けにくい」「会話で違和感がある」などの状態は1週間以内に軽快する事が殆どです。
糸リフトで神経障害が現れた、というネット記事を見たのですが本当ですか?
当院での経験はありませんが、学会発表で聞いたことはあります。解剖学的に適切な部位、層に挿入されていれば神経障害を起こすことはありません。皮下脂肪層やSMAS層を超えた深部に挿入しなければ起きないと考えられます。
糸リフトで感染する事は無いのですか?
感染は全く無い訳ではありません。宇都宮院ではスプリングリフトを導入以来13年間で5名の患者様が感染を起こしました。最も早い方では治療後2週間、最も遅い方では治療後4年半です。感染の程度にもよりますが、感染を起こした場合は糸を一旦は抜去しなくては中々治りません。溶ける糸での感染の経験は今までありません。
感染予防対策は行なっていますか?
感染予防のために「前日からの抗生剤内服」「治療当日の抗生剤点滴」「治療前のシャンプーの推奨」「治療翌日からの洗顔とシャンプーの義務化」「治療後1週間の抗生剤内服」「顔の産毛の多い方では前日の剃毛」などを溶けない糸の場合は行なっています。溶ける糸では「治療翌日からの洗顔とシャンプーの義務化」「治療後3日間の抗生剤内服」「顔の産毛の多い方では前日の剃毛」などをお願いしています。
感染以外の副作用はありますか?
因果関係ははっきりしていませんがスプリングリフトの治療後に頭痛が約1ヶ月続いた患者様が13年間で1名だけいます。時間の経過とともに自然に治ってしまった、との事でした。
糸が皮膚の下で触れたりしませんか?
糸リフトの糸が挿入されている場所は皮下組織(主に脂肪層)です。糸自体が元々柔軟性のある素材ですので、皮膚の下で触れる事はありません。エステサロンなどでお顔のマッサージを受けたりしても分かりません。
糸が口の中から飛び出たりしませんか?
糸リフトの初期に使われていた硬いナイロン糸系のアプトスなどでは、術後に口の中の粘膜から糸が飛び出てきた、という症例を見たことがあります。現在の糸リフトではそのような症例は見たこともなければ聞いたこともありません。
元に戻す事は可能ですか?
個溶ける糸、溶けない糸ともに「糸を交差させる方法(Xtosi)」の場合は比較的容易に糸を抜去する事が可能です。ただし、治療後1ヶ月くらいすると溶けない糸であるスプリングリフトの場合はコグ周囲が繊維化して固定されてしまい、糸だけを引き抜く事は非常に困難になります。一方、1本1本単独で挿入している場合(Xtosisでない方法)はある程度の皮膚切開を加えないと糸を抜去することは難しいと理解して下さい。
レントゲン写真やMRIには写りませんか?
溶ける糸、溶けない糸ともにレントゲンには写りません。MRIで写る可能性はありますが、現実的には全く分からないレベルです。
糸リフトの糸は厚生労働省で認可されていますか?
残念ながら全て認可されていません。僕の知る限り、糸リフトで使用する糸は吸収性、非吸収性を問わず全て未認可の外国製品です。医師の責任の元に個人輸入して使用しています。スプリングリフトはフランスの1st SurgiConcept社の製品でCEマーク(EUでの認可)を取得しています。13年以上の歴史があり、今までに製品上のトラブルは報告されていません。アンカーPLUSとアンカーMAXはCEマーク取得以外にもFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可が取れています。アンカーDXはCEマーク取得のみです。
糸リフト治療後にヒアルロン酸やボトックス注射を受けても問題ないですか?
はい、全く問題ありません。逆に様々な治療方法を併用する事によって相乗効果が得られますので、お勧めです。
何度でも糸リフトを追加して行うことは出来ますか?
溶ける糸のタイプでは何度でも追加して糸リフトを行う事が可能です。スプリングリフトは効果の持続が長いでので、頻繁に追加する必要はありません。追加治療は可能ですが、2回くらいまでと思ってください。
過去に皮膚切開を伴うフェイスリフト手術を受けているのですが、この場合でも糸リフトを行う事は可能ですか?
はい、治療は可能ですが過去のフェイスリフト手術によって皮下組織が瘢痕化や癒着していると糸が挿入しにくかったり、糸リフトの牽引力が低下してしまう可能性があります。過去にフェイスリフト手術を受けていない方が最も良い適応です。
過去に顔の脂肪吸引手術を受けているのですが、この場合でも糸リフトを行う事は可能ですか?
はい、治療は可能ですが過去の脂肪吸引手術によって皮下組織が多少は瘢痕化したり、癒着している事が予想されます。そのような場合では糸が挿入しにくかったり、糸リフトの牽引力が低下してしまう可能性があります。
過去にサーマクールやハイフを受けているのですが、この場合でも糸リフトを行う事は可能ですか?
はい、サーマクールやハイフに関しては全く問題なく糸リフトを受けて頂けます。同日治療も可能です。逆に糸リフトを受けた後にサーマクールやハイフを受ける事も問題ありますう。サーマクールやハイフの熱エネルギーで糸が溶ける、分解されるということはありません。