今から25年以上前から製品化され、厚生労働省でも認可されて使用されている皮膚注入材料がコラーゲンです。
コラーゲンという名前を聞いたことのない方は少ないと思います。人間の皮膚の約80%はコラーゲンという「タンパク質の繊維」で出来ています。(残りの20%はエラスチンというやはり繊維です。)シワやタルミとはコラーゲンの量の減少、コラーゲン繊維の結合のゆるみ、などが原因です。
ヒアルロン酸も知らない方は少ないと思います。もともとは皮膚や筋肉にも含まれている「保水物質」です。
水分をキープする物質ですので、これの減少は肌の潤いや張りの低下という老化現象となって現れます。コラーゲンもヒアルロン酸もお化粧品やサプリメントなどに含まれていて「老化に効く」「シワがなくなる」などと宣伝されていますが、全くの嘘です。コラーゲンやヒアルロン酸の繊維の分子はとても大きいので皮膚に塗っても毛穴からは全く吸収されませんし、サプリメントで服用しても顔のしわに直接集まるわけではありません。通常のバランス良い食事を摂っていれば問題ありません。
若々しい肌、皮膚というのはこれらのコラーゲン、ヒアルロン酸がたっぷりとある状態と考えて下さい。
1987年から厚生労働省で認可され、広く美容目的で使用されて来たコラーゲン製剤ですが、現在は使用出来ない状態となっています。理由は「その採算性の悪さからメーカーが製造を中止してしまった」からです。FDAで認可されて普及していた人コラーゲン(コスモダームなど)の製造メーカーであるアラガン社(ボトックスの製造メーカーとしても有名です)が2009年8月で製造を中止、2010年9月で販売を中止しました。
やはり、「効果が長持ちする」ヒアルロン酸には勝てなかったようです。
現在、唯一入手出来るコラーゲン製剤はアテロコラーゲンという日本の高研という会社で製造販売している製品です。しかし、この製品は人コラーゲンではなく「牛コラーゲン」なので「アレルギー反応」の起こる可能性があります。アレルギーが起きるかどうかを確かめる「皮内テスト」が必要ですが、皮内テストをしたとしても、アレルギーは100%防げません。
以上のような理由で、当院では現在のところコラーゲン製剤を使用していません。
宇都宮院では以下の6製品を導入しています。
導入基準があります。
原則的には「厚労省とFDAの両方で認可されているもの」→「FDAで認可されているもの」→「CEマーク取得で発売されてから年月が経過しているもの(発売されて直ぐのものは使用しない)」という基準で導入しています。
ハイアコープは最後の「CEマーク取得のみ」ですが、発売されてから10年近くの歴史があり、現在は豊胸用ヒアルロン酸としてはこの製品しか発売されていないので、導入しています。
<厚労省、FDAとも認可>
<FDAのみの認可>
<CEマークのみの取得>
ジュビダームビスタウルトラXC | ジュビダームビスタウルトラプラスXC | レスチレンVital Light | ジュビダームビスタボリューマXC | ジュビダームビスタボリフトXC | |
---|---|---|---|---|---|
製造会社 | アイルランド、アラガン社 | アイルランド、アラガン社 | スイス、ガルデルマ社 | アイルランド、アラガン社 | アイルランド、アラガン社 |
厚生労働省 | 認可 | 認可 | 未認可 | 認可 | 認可 |
FDA | 認可 | 認可 | 認可 | 認可 | 認可 |
CEマーク | 取得 | 取得 | 取得 | 取得 | 取得 |
効果の持続 | 8〜10ヶ月程度 | 14ヶ月以上 | 3〜6ヶ月程度 | 2年程度 | 12〜18ヶ月 |
1本の量 | 1cc | 1cc | 1cc | 1cc | 1cc |
特徴 | ヒアルロン酸の定番、長持ちする割には柔らかい | 宇都宮院でもっと売れている製品です。長持ちしますが硬さを感じます | 架橋されていない低濃度ヒアルロン酸、34Gの針で注入可 | 最高濃度のヒアルロン酸、皮下への注入に限定 | 高濃度のヒアルロン酸だが柔らかいので皮内にも注入可 |
主な適応 | ほうれい線、マリオネットライン、眉間、涙袋、唇 | ほうれい線、マリオネットライン、眉間 | 目尻、目の下などの薄い皮膚 | 頬、こめかみ、目の下の凹み、アゴ、隆鼻 | ほうれい線、マリオネットライン、眉間、ゴルゴライン |
治療前の状態です。(ただし、1年9ヶ月前に両側のほうれい線にヒアルロン酸(ジュビダームビスタウルトラプラスXC)を注入してあります。もう殆ど吸収されてしまっています)
両側のほうれい線にヒアルロン酸(ジュビダームビスタウルトラプラスXC)を注入した直後の写真です。麻酔クリームを塗ってから40分後に注入しました。非常勤の辻先生に注入してもらいました。 ほうれい線(特に左側)がかなり平坦になりました。
治療前の超音波エコーです。上部の白い部分が皮膚(真皮)です。前回注入したヒアルロン酸は画像上は全く残っていないようです。
ヒアルロン酸注入直後の超音波エコーです。上部の黒い部分が注入されたヒアルロン酸です。今回注入したジュビダームビスタウルトラプラスXCは最低でも14ヶ月は効果が残存する高濃度タイプです。
ダブルレイヤー注入法とは通常のヒアルロン酸を注入する「皮膚内(真皮)」だけでなく「皮膚の下(真皮の下の脂肪組織など)」にも注入してより高い効果を得る方法です。皮膚内と皮膚の下の2層に注入するのでダブルレイヤーと呼んでいます。
眉間や目尻のシワの原因は通常は皮膚だけですが、ほうれい線やマリオネットライン(口角下の下垂したシワ)は皮膚だけがシワの原因ではありません。頬やアゴの皮膚や皮下脂肪が加齢などで下垂したことによるシワも加わっています。そこで、皮膚の下にも注入することによって「皮膚の凹みを改善するだけでなく、リフトアップした効果」も得られるようになります。
弱点は皮膚の下は皮膚内よりもヒアルロン酸の吸収が比較的早い、という点です。
2016/12からやっと日本の厚労省でも認可されたジュビダームビスタボリューマXCは2年以上持続する製品ですので、ダブルレイヤーには非常に適しています。
ダブルレイヤー注入法は主にほうれい線とマリオネットラインに適応があり、従来の皮膚内だけへの注入よりも若返り効果がアップしています。 宇都宮院でのお勧めのテクニックです。
ヒアルロン酸は一般的に「アレルギーが殆ど起きない」と言われて、世界中で広く普及しています。ただし、全くアレルギーが無い、という訳ではありません。1人/15,000人の確率でアレルギーが起きる(ジュビタームビスタウルトラ)という報告があります。
当院でもヒアルロン酸を使い始めて20年近く経ちますがアレルギーの経験は3人(2018年7月時点で)です。一般的な症状は注射後しばらくしてからの注入部位に一致した「赤み」「腫れ」「かゆみ」です。
治療としては「ヒアルロニダーゼ」によるヒアルロン酸の分解に尽きます。通常はヒアルロニダーゼ注入後、数十秒で明らかにヒアルロン酸が消失しボリュームダウンします。アレルギー反応と思われる症状が現れたならば出来るだけ早く(当院では3日以内を推奨)来院して治療を受けて下さい。ヒアルロニダーゼによる治療が遅れると患部の「皮膚壊死」「陥没」「感染」などの危険性があります。
本来はヒアルロン酸注入前に皮内テストを行って、アレルギー反応が無い事を確認してから治療を行えば良いのですが、ヒアルロン酸のアレルギーは即時型(注入後すぐにアレルギー反応が出る)ではなく遅延型(後からアレルギー反応が現れる)である事が殆どです。また、「1回目の注入ではアレルギー反応が出なかったが2回目の注入でアレルギー反応が出た」「少量ではアレルギー反応が無かったが大量注入したらアレルギー反応が出た」という場合もあります。
ですので「アレルギー反応の皮内テストの不完全性」「患者様の通院回数」「アレルギー出現の確率」などを総合的に考えると「万が一、アレルギー反応が現れたならば直ぐにヒアルロニダーゼで対処する」というのが現状です。
2012年からカニューレを導入しています。カニューレとは「針の先端が鋭利な形状ではなく、鈍になっており、針穴が先端ではなく側面に開いている」タイプの針です。
現在は長さ、太さの違うものが多品種、多くのメーカーから発売されています。
針先が丸いので95%の確率で内出血が起きません。痛みも非常に少ないので、治療部位への直接の麻酔は不要です。目の周りなどの皮膚が薄くて、内出血しやすい部位では必須アイテムです。
涙袋、唇、目の上の凹み、目の下のクマ、額、手背、膣内部、陰茎などの注入では必須です。痛みが殆ど無いので、治療中の鏡での確認も容易に出来ます。
どんな治療でも痛みがあると受けるのを躊躇してしまいます。
当院では患者様の痛み軽減のために以下のような工夫をしています。
ヒアルロニダーゼという薬剤があります。その名の通り「ヒアルロン酸を分解する」物質です。ヒアルロン酸アレルギーが起きてしまった、量を入れすぎてしまった、何かの理由で元の状態に戻したい、などという場合に使用します。「ナメクジに塩をかけるように」注入されたヒアルロン酸が消失します。この薬剤があるお陰で、万が一のトラブルにも安全に対処できるようになりました。
ただし、このヒアルロニダーゼは羊由来の薬剤なので、まれにアレルギーを起こす可能性があります。本来ならば事前にアレルギーが出るかどうかの皮内テストを行ってから使用するのが理想です。
しかし、実際には「ヒアルロニダーゼの血液中の半減期は約30分」と言われていますので、アレルギーが出ても体内から速やかに代謝されてしまいます。そのような理由で当院では皮内テストは行っていません。
ヒアルロニダーゼのアレルギーが万が一現れても、すぐに治るという事です。
当院で使用しているのはヒアルロン酸だけですが、2010年からはハイドロキシアパタイトを成分とするレディエッセという製品が発売されています。これはFDAでも認可されています。歯科や整形外科分野で使用されるカルシウム製剤であるハイドロキシアパタイトを流動性のある製品にしています。
効果の持続が1年半程度というメリットがありますが、デメリットは「注入時の痛みが強い」「直ぐに元に戻したり修正する事が困難」という点です。主に隆鼻目的で使用されていますが、上記のデメリットのために当院では導入していません。ヒアルロン酸で十分、と考えています。
世の中ではPMMAと呼ばれる非吸収性の異物を含んだ注入物やFDAで認可されていない製品が出回っています。商品名で言うと「ダーマライブ」「アクアミド」「アメイジングジェル」などです。非吸収性の物質を含んだ製品は「非吸収性の物質が含まれているので全く元に戻ることはありません」という謳い文句ですが、逆に言えば異物が体内(皮膚内、皮下)に残ってしまう、という事です。
PMMAは異物として体内に残るだけでなく、その代謝産物が発癌性を持つ危険性も指摘されています(2006年10月の日本美容外科学会での日本医大佐藤先生の発表より)。元々体内にない物質が残ってしまう訳ですから患者様によっては異物反応による「異物肉芽腫」が現れる可能性が否定できません。
実際に宇都宮市内の美容クリニックでダーマライブという製品を使用して「異物肉芽腫」が複数の患者様に発生して、裁判にもなっています。(2005年10月の下野新聞より)異物肉芽腫とは患部がケロイドのように赤く盛り上がって、痛みやかゆみを伴う場合もあります。治療方法としてはその部位を切除するか、ステロイド剤等の内服、外用で症状の緩和を図ります。しかし、全く元通りの皮膚に戻ることはありません。
ですから当院では開業当初より厚生労働省やFDA(アメリカ食品医薬品局)などの信頼置ける機関で認可された製品を主にを使用しています。また、万が一の際には「元に戻せる」という点に留意して現在のところはヒアルロン酸だけを使用しています。
宇都宮院で導入しているヒアルロン酸をまとめてみました。注入時の参考にしてみて下さい。
◎…とても良い適応、お勧めします。
○…適応があります
△…注入して悪くは無いですが、積極的にはお勧めしません。
×…適応がありません。部位によっては逆効果になります。
レスチレンVitalLight 低濃度 |
ジュビダームビスタ ウルトラXC 中濃度 |
ジュビダームビスタ ウルトラプラス XC高濃度 |
ジュビダームビスタ ボリューマ XC最高濃度 |
ハイアコープ 粒子大で安価 |
|
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ほうれい線 | △ | ◎ | ◎ | ◎皮下には | ◯皮下には |
マリオネットライン | △ | ◎ | ◎ | ◎皮下には | ◯シワが深ければ |
眉間 | △ | ◎ | ◎ | × | × |
額の横シワ | ◎ | ○ | ◯シワが深ければ | × | × |
目尻のシワ | ◎ | ◯シワが深ければ | ◯シワが深ければ | × | × |
目の下のシワ | ◎ | ◯シワが深ければ | ◯シワが深ければ | × | × |
鼻の横シワ | ◎ | ◎シワが深ければ | ◯シワが深ければ | × | × |
ゴルゴライン | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯皮下には |
鼻下の縦シワ | ◎ | ◎ | ◎シワが深ければ | × | × |
涙袋 | △ | ◎ | ○ | × | × |
目の上の凹み | ◎極少量ならば | ◎ | ○ | × | × |
目の下の凹み、クマ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | × |
隆鼻 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
口唇 | △ | ◎ | ◎ | △ | △ |
アゴ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | |
コメカミの凹み | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
頬の凹み | △ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
顔の輪郭形成 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
額を立体的にする | △ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
手背をふっくら | △ | ◎ | ◎ | × | ○ |
ペニス | △ | ◎ | ◎ | 陰茎には○ | 陰茎には○ |
膣入口 | △ | ◎ | ◎ | × | × |
膣内部 | △ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
豊胸 | × | × | × | × | ◎現状では豊胸用にはこれしか販売されていない |
医師により、充分なカウンセリングを行います。
このときあなたの希望を伺いながらヒアルロン酸やボトックスの適応など患者様にとって最適なプランを決めていきます。
治療するシワをマーキングします。
その後麻酔を行う場合もあります。ベッドで起きた状態(部位によってはベッドで寝た状態)で注入していきます。治療中は鏡で確認しながら注入しますので安心です。
万が一の内出血の予防のために患部を冷やしてから帰ってもらいます。
注入直後からお化粧は可能です。内出血の治療薬のヒルドイド軟膏が処方されます。
0.1ccあたり | 最高濃度 | ジュビダームビスタボリューマXC 13,000円 キャンペーン価格 10,400円 |
高濃度 | ジュビダームビスタボリフトXC 13,000円 キャンペーン価格 10,400円 |
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高濃度 | ジュビダームビスタウルトラプラスXC 12,000円 キャンペーン価格 9,600円 |
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中濃度 | ジュビダームビスタウルトラXC 10,000円 キャンペーン価格 8,000円 |
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低濃度 | ジュビダームビスタボルベラXC 13,000円 キャンペーン価格 10,400円 |
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低濃度 | レスチレンVital Light 12,000円 キャンペーン価格 9,600円 |
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注入用カニューレ(1回使い捨て) | 3,000円 | |
麻酔クリーム(1ヶ所) | 1,000円 (1回の施術あたり最大3,000円) |
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